この記事の目次
労働衛生は時代に応じて変化しています。
2025年に変更された労働衛生業務をお伝えし、貴社で必要な個所は早めにご対応ください。
2025年の労働衛生業務・全体像

2025年は「化学物質の自律的管理」「猛暑・熱中症対策の義務化」「メンタルヘルス対策の拡充」が三本柱です。
加えて、多様な働き方や高齢就労への配慮が制度面で整理されてきました。
これに応じてわれわれ産業医・衛生管理体制の運用も適宜見直しを図らなければなりません。
以下の記事で貴社の当てはまる部分があれば、ぜひご対応ください。
ポイント1:化学物質“自律的管理”の定着
個別規制中心から、事業場がリスクアセスメント→ばく露低減→記録保存まで一貫管理する枠組みへ転換しました。
事業場ごとの「化学物質管理者」選任、保護具着用管理責任者の配置、衛生委員会での審議強化が求められています。
SDS・ラベル確認と濃度基準対応、結果の周知・保存(最低3年)までが実務の肝です。
ポイント2:熱中症対策の義務化(2025年6月施行)
安衛則改正により、WBGT等で暑熱リスクが見込まれる作業では、報告体制の整備、離脱・冷却・受診手順、
緊急連絡網の明示と周知が義務化となりました。
暑熱順化、作業計画・休憩・水分塩分・換気/空調・測定の運用が実務標準になります。
ポイント3:ストレスチェック“全事業場”へ拡大
改正安衛法が成立・公布(2025年5月14日)。50人未満にもストレスチェック義務を拡大し、
施行は「公布後3年以内」に段階的実施予定です。
小規模でも実施体制・面接指導フロー・プライバシー保護と集団分析の活用準備が急務です。
ポイント4:心理社会的リスクと国際指針
ハラスメント、過重業務、役割不明瞭、孤立等を含む「心理社会的リスク」管理が企業責任として明確化されました。
ISO 45003(職場の「心理社会的なリスク」を管理し、従業員のメンタルヘルスとウェルビーイングを促進するための国際的なガイドライン)はリスク特定→予防的措置→有害事象時の介入→効果検証の循環を提示しています。
国内の実務でも方針・手順の文書化が進みます。
ISO 45003の内容とポイント | 日本規格協会 JSA Group Webdesk
ポイント5:多様な働き方・高齢就労への配慮
テレワークでは労働時間管理・健康確保措置の整備が継続課題となっています。
高年齢労働者の災害防止措置も努力義務として推進され、作業設計・教育・人間工学的改善が重点項目となります。
実務への示唆
1)リスクアセスメントと化学物質台帳・記録様式の統一
2) WBGTに基づく暑熱KPI運用
3) 小規模拠点を含むストレスチェック体制の平準化
4) 45003整合の心理社会的リスク方針策定
5) テレワーク・高齢者配慮の手順整備
を今年の優先アクションに据えるのが有効です。貴社の必須事項はどれでしょうか。
